リスク情報

リスク管理体制

当社グループは、リスクマネジメント委員会を設置し、事業活動に関わるリスクを定期的に洗い出すとともに、原則として毎年重要リスクの評価・選定を行い、次年度の経営課題等の検討対象にしています。また、各部門におけるリスクへの取り組みの検討およびその実施を積極的に推進しております。

 なお、様々なリスクに起因するインシデントや緊急事態に対しては、リスク管理規程に基づき、必要に応じてワーキンググループや対策本部を設置することによって、迅速かつ適切に対応する体制を整備しています。特に新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うリスクについては、2020年2月に社長を本部長とする対策本部を設置し、それに関する情報共有や各種の対応等を実施しています。

リスクアセスメント活動

当社グループは、主に以下の手順にしたがって、各部門からリスクを吸い上げ、リスクマネジメント委員会にて重要リスク(「特に重要なリスク」及び「重要なリスク」の区別を含む)を評価・選定し、その対応策を検討するとともにその後のモニタリング等も実施することとしています。

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループの判断または仮定に基づく予測等であり、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下に記載する事項は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅的に記述するものではございませんのでご留意下さい。

特に重要なリスク

当社グループは、衣料品等小売業を主体とした、いわゆるBtoCビジネスを主に展開しており、経営理念として「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける」を掲げる等、お客様にご満足いただき続けることこそが当社のビジネスの根幹であると考えています。

 このことから、時代と共に変化する社会環境やお客様のニーズに対応し続けられない、すなわち「時代対応できない」ことを究極的なリスクと考えており、具体的には、以下に記載するリスクを「特に重要なリスク」と捉えています。

① 経済状況・消費動向に関するリスク

当社グループは、景気変動等による経済の停滞に伴う消費動向の低迷、人口動態等による消費動向の変動によって、売上の減少や過剰在庫の発生など、当社グループの中長期の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループを取り巻く事業環境は市場のグローバル化や新規参入の企業により他社との競合が激化しており、お客様の価値観の変化に対応するための施策の推進および技術革新の効果的な活用の遅れ、既存インフラの陳腐化等により事業競争力が低下、ひいては当社グループのビジネスモデルが劣化し、売上の減少や過剰在庫の発生等、中長期の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、経営方針等を立案するに際して、マーケット動向分析等の「外部環境分析」及び主要経営指標分析等の「内部環境分析」を踏まえた経営分析を実施しています。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、緊急事態宣言に伴う実店舗の休業やインバウンド需要の急激な低下に加え、消費マインドの弱含み、密を避ける行動様式の広がりに伴う実店舗への来店客数の減少等、非常に厳しい環境が継続しており、本リスクが急激に顕在化しているといえます。

 このような情勢に対して、中期経営計画の基本方針に「危機に打ち勝ち、稼ぐ力を取り戻す」を、また2022年3月期の経営方針に「持続的成長と未来に向けた大改革~新時代のお客様大満足へ~」を掲げ、社会環境やお客様ニーズの急激な変化に対応すべく各種施策を推進してまいります。特に、OMO戦略として、新自社ECの開発を進行する他、SNSを活用したオンライン接客等も推進してまいります。

② 商品の企画・開発に関するリスク

当社グループは、お客様の嗜好(ニーズ)や時代変化に対応すべく国内外のマーケットより情報収集に努め、商品企画ならびに商品開発に注力しております。しかしながら、お客様の嗜好(ニーズ)やファッション・マーケットトレンドは短期的かつ急激に変化する傾向にもあります。特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、リモートワークやオンラインでの業務が普及したこと等に伴い、お客様のカジュアルニーズが高まっており、当社グループがそれらの趣向や時代対応に遅延または対応できなかった場合には、競合優位性やブランド価値が低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、商品力の強化や商品企画・投入時期の見直しによる定価販売比率の向上、お客様のニーズに即したタイムリーな商品投入の推進による消化率の向上や在庫の適正化推進、あるいは新しい時代に即した事業開発として、アウトドア関連商品やヨガ等のウェルネス関連商品の展開を推進する他、EC・カジュアル主体の新規ブランドの開発等により、収益性の改善を図ってまいります。

重要なリスク

上記の重要リスクの評価・選定手順を踏まえ、以下のリスクを「重要なリスク」と捉えています。

① 商品の調達に関するリスク

当社グループは、日本国内のみならず、アジアを中心に広く世界各国で生産された商品を仕入れております。各国の政治情勢や景気変動及び急激な為替レートの変動、戦争やテロ、自然災害等が発生した場合には商品調達に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループにとって、重要かつ特有な影響を及ぼす仕入先や生産委託先に倒産等の問題が発生した場合には、商品納入の遅延または不能が発生し、状況によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の収束が遅れた場合、商品調達先からの納品遅延等サプライチェーンの停滞が発生する可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、商品調達に関する緊急時対応マニュアルを策定する等、有事の体制整備を図ってまいります。

② 品質に関するリスク

当社グループでは、従業員の品質への意識付けと万全の品質管理体制を敷いておりますが、検品の不備等により、商品に針等危険物が混入しお客様に被害が生じた場合、当社グループへの信頼感が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、不適切な表示により関係諸法令に抵触した場合、ブランドイメージの低下に繋がる可能性があります。特にECビジネスの拡大に伴い、表示の総量が増加しているため不適切な表示リスクは年々高まっています。

 なお、当社は過去に、公正取引委員会及び消費者庁より景品表示法違反として行政処分を受けており、再度同様の行政処分を受けた場合、社会的信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、継続して社内規程に基づく管理体制の整備・構築と運用の遵守・徹底を図ってまいります。また、品質不良や不適切な表示が発生した場合には、全社の会議体にて事案内容及び再発防止策の共有等をすることとしています。

③ 知的財産に関するリスク

当社グループでは、多数の知的財産権を保有しており権利の保全に努めておりますが、第三者による当社グループに関係する権利に対する違法な侵害等によって当社グループの事業活動が阻害され、かつ、企業及びブランドイメージの低下を招くなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、外部会社を起用した定期的な調査の実施、法律専門家と連携しての知的財産管理部門における侵害者への警告対応など、当社グループの知的財産権の侵害行為への迅速な対応を図ってまいります。

④ 人材に関するリスク

当社グループの事業については、今後とも業容拡大に応じて継続した人材の確保と人材の育成が必要と考えております。

 現時点では、重大な支障はないものの、今後他社との人材獲得競争が激化し、かつ、少子化等により人材の絶対数が急激に減少した場合には、優秀な人材の獲得が困難になり、また、人材が外部に流出する可能性があり、引いては市場競争力の低下につながるため、販売力で差別化を図ってきた当社グループの店舗運営ならびに業容の拡大に支障をきたす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、主要機能を担う人材への教育投資の増加と「グローバル」・「デジタル/IT」分野の人材獲得に向けた積極投資を図ることや、RPA等のテクノロジー活用による業務の効率化・自動化の推進等を図ってまいります。「デジタル/IT」分野については、2022年3月期よりDX推進センターを設置し、その担当本部長及び担当副本部長には他社から招聘した当該分野の専門家が就任しています。また、グループ人材のデータベース化による、キャリアプランの多様化と人材の発掘も継続して進めてまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響下においては、短期的には、新しい生活様式、新しい消費に適応した新しい働き方へのシフトや、収束の長期化を見据えた人件費政策(雇用形態や適正人数の見直し、新卒の通年採用への移行等)等も推進してまいります。

⑤ 店舗展開に関するリスク

当社グループの展開店舗の多くがショッピングセンター等の商業施設の賃借物件のため、当該商業施設の集客力の変動によっては、入店客数が減り、売上減少等業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響下においては、商業施設によっては著しく集客力が低下しており、本リスクが顕在化しているといえます。

 また、店舗賃貸人または商業施設の財政状態等によっては、債権の一部および出店に際して差し入れる保証金の回収不能、不動産価格の上昇に伴う賃借料の高騰、あるいは店舗の営業継続が困難となる不測の事態の発生等により、収益性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、新規出店の意思決定に際して出店エリアのマーケット状況を重視する他、契約締結前の取引先への信用調査を実施するとともに、出店後も店舗損益を定期的にモニタリングしつつ、計画と実績に乖離が生じた場合には、デベロッパーとも協業し販売促進活動を積極的に行う等のフォローアップを継続して実施してまいります。なお、投資や撤退に関する社内基準も引き続き運用してまいります。

⑥ 事業インフラに関するリスク

当社グループの事業活動を支える物流ネットワークや情報システム、またはECサイト運営等において、事業運営の継続が困難となる事象が発生した場合、商品の供給が滞るなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、BCPの整備や複数拠点への分散を推進するとともに、委託先とは業務オペレーションやコミュニケーションの充実を継続して図ってまいります。

⑦ 情報管理に関するリスク

当社グループでは多くの個人情報を含む機密情報を取扱うため、その取扱いには十分に留意しておりますが、万が一、コンピュータウィルスやサイバーテロ、従業員や委託先の管理ミス等の要因により機密情報の漏洩等が起きた場合には、当社グループのブランドイメージの低下や法的な責任の追及によるコストの発生等、業績への影響が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によるリモートワーク者の増加に伴い、機密情報の漏洩等のリスクは高まりつつあります。

 こうしたリスクへの対応として、2021年4月1日付で「情報セキュリティ規程」を改定するとともに、従業員に対して研修を実施すること等によって、管理体制の整備・構築と運用の遵守・徹底を図ってまいります。

⑧ 資産価値の評価に関するリスク

当社グループでは、商品の評価についての判断にあたり、原価割れ販売実績率及び在庫消化見込額を算定しており、当該算定は将来の在庫消化予測等を基礎としているため、経済条件の変動等によって当該予測が実態と異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、商品の簿価の切下額に重要な影響を与える可能性があります。

 また、固定資産の減損判定を実施する際の回収可能額は、主にその使用価値に基づき算定しており、当該算定は将来の業績予測等を基礎としているため、経済条件の変動等によって当該予測が実態と異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、減損損失の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、将来の在庫消化予測等に際し、国内外のファッション市場におけるマーケティング調査や、気象予測、あるいは販売動向のモニタリング結果を踏まえたマーチャンダイジングのコントロールを継続して実施してまいります。

⑨ サスティナビリティに関するリスク

当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、環境、社会、ガバナンスを重視した企業経営が重要であると考えております。アパレル業界においては、特にサプライチェーン全体における環境や人権に配慮した事業運営が求められており、そのような経営が実現できない場合、中長期的には、当社グループの企業活動が、お客様や投資家からご支持いただけなくなる等、社会から受容されなくなる可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、経営会議の下部組織として、業務執行取締役及び執行役員を委員とする「サスティナビリティ委員会」を設置しており、経営理念体系の「5つの価値創造」を基本に、「サプライチェーン」、「資源」、「コミュニティ」、「人材」、「ガバナンス」の5つのテーマを設定し、これらに関する施策の推進により、事業を通じた社会課題の解決や社会貢献に向けた活動を積極的に行ってまいります。

サスティナビリティ推進体制図

⑩ 気候変動に関するリスク

当社グループの店舗は日本国内の大都市に集中して出店しており、商品の物流拠点や本部機能も首都圏に集中しております。主にこれらの地域において、物理的リスクである大型台風や豪雨等による自然災害が発生した場合、店舗設備の被害や店舗の休業、あるいは商品調達に支障をきたす可能性があります。また、最低・最高気温の推移の変化や季節のズレが発生して、お客様の需要や購買行動等に変化が生じた場合、これまでの商品計画では対応し得ない可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、自然災害時の対応に向け、「リスク管理規程」において危機管理体制を整備・構築するとともに、継続して事業継続計画(BCP)の見直しも図ってまいります。この危機管理体制の実効性を高めるために、災害時の被害状況の確認訓練を定期的に行っています。また、シーズンレス商品の投入等といった商品力の強化や、シーズンMDの変更等といった商品企画・投入時期の見直しを図ることによって定価販売比率の向上を推進してまいります。

 なお、気候変動を緩和することを目的とした低炭素社会への移行には、規制や市場等の変化を伴うため、その変化に対応できないというリスクが生じ、財務的な影響が発生する可能性があります。また、そのリスクが顕在化した場合には、お客様や社会からのレピュテーション(評価・評判)が低下し、引いてはブランド価値の低下を招くおそれがあります。

 こうしたリスクへの対応として、当社グループの炭素削減目標を検討するだけでなく、一部の店舗においては既に再生エネルギーの利用を開始しています。なお、今後、低炭素社会の実現に向けて、さらなる施策を推進してまいります。

⑪ その他のリスク

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、店舗にご来店いただくお客様、当社グループ従業員及びその家族の安全と健康が損なわれるリスクがあります。また、店舗において、感染防止策が徹底できないこと等により、いわゆるクラスターが発生した場合は、店舗の休業を余儀なくされる可能性があるだけでなく、ブランドイメージの低下を招くおそれがあります。

 当社グループは、お客様、従業員をはじめとした当社グループを取り巻くステークホルダーの安全と健康を第一に考えておりますので、店舗やオフィス等における必要な感染防止策を実施するとともに、ご来店いただくお客様にも感染防止策へのご協力をお願いしています。

 その他、海外事業においては、現地における景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、または自然災害や伝染病等によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、海外ビジネスを推進する部門と関係会社を管理する部門とが連携を図ることによって、適切なリスク管理を行う体制を整備しています。

* 当社の持分法適用会社であるCHROME HEARTS JP合同会社(以下「CH合同会社」といいます。)は、「CHROME HEARTS」ブランドを運営・管理する会社が支配するFrankster USA, LLCとの間でライセンス契約を締結し、「CHROME HEARTS」ブランドの直営店を日本国内で運営しております。CH合同会社は2020年12月末までは当社の連結子会社でしたが、当社はFrankster USA, LLCとの間でCH合同会社の持分を段階的に譲渡することを合意しているため、かかる譲渡により、2021年1月よりCH合同会社は当社の持分法適用会社となり、また、2025年1月以降は、当社はCH合同会社の持分を保有しなくなる予定です。